モーニング・コール
- はるか みさき
- 2023年6月14日
- 読了時間: 5分
更新日:2023年6月15日
メガミド。短編集になるはずだった作品の1つ。もちろんWEB公開は初出。
寝起き?ドッキリエッryなメガミド。甘い。
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これで何度目の朝がきただろう。
自分の体がどこか別の場所にでも置かれたかのように重くなっていくのはいつもの事とはいえ
正直、体がだるくて敵わない。
彼の執着心が強すぎるのか、ふと自分の腕や足を見てみると、彼が夜に残してくれる、所有物の証とでもいうような紅い跡は今でも痛々しいほど赤いまま、ちらりほらりと見せつけてくれていた。
この分だと、他の部分にでもつけられているに違いない。そんな事を考えた途端、昨夜の戯れ事もフラッシュバックしていく。
しかし…昨夜はまた、彼のひと癖ある、厭らしいプレイをさせられていたものだから。
結局、一気に顔周辺に熱を促す切っ掛けを 作ってしまっただけだった。
ふいに、佐伯の息が一息だされた。
昨夜の出来事を思い出したからと言って、
顔が赤いままだと また彼に揄われかねない。
バタバタと手を仰ぎ、頬の熱を逃がしてもう一度佐伯を見つめると、やはり目覚めはじめたのか微かに欠伸をしているようだった。
「…んん・・・御堂…?」
「…あ…起こしてしまったか…?」
「いや…もう、起きるからいい…」
「…そ、そうか…」
取り留めなく綴られていく言葉が。
すでに何度目と、回数すら忘れてしまっているこのセリフが、心地いい。
しかしそれとは裏腹に・・・腰が重く、あり得ない
場所が熱ぼったくて 少し、目の前の佐伯が恨めし
くもあるのだから不思議なものである。
いつ頃からか、佐伯の部屋に移り住むようになり、それからというものの佐伯から夜になる毎に、体を求められている。
…嫌、という訳ではないのだが… だが、やはり翌朝の辛さが躊躇を生んでしまうのは仕方がないだろう。
元々、男同士のセックスは、本来繋がる為に使う機能でない場所を使って、繋がっていくのだ。
それは、いくら佐伯が最善を尽くしてくれたとしても、翌日の痛みが消えない訳じゃないという答えで。
だから…余計、なのかもしれない。この瞬間も、まだ当分は起きられない状態で正直、しんどいはずの体。
しかし、働かない訳にもいかないだろう。
ゆっくりとベッドから起き上がろうと、サイドに足をひっかけてみた。
ここから少しずつ起きられれば、なんとか勤務時間までに 会社に、間に合うだろう。
そうして立ち上がろうとすると、くい、と何かが邪魔をしているのを確認した。
よく見てみると、いつの間にか佐伯の手は、私の腰に膝を曲げて、しっかり 私を逃がさないようにと 抱え込んでいた。
これでは、立ち上がれないではないか。
意を決して、佐伯に目をやる。
すると、佐伯は…私の唇を割るように、舌を潜り込ませて…私の口腔を、犯そうときゅうきゅうに吸い上げていった。
「ん…っ!さ、えき…」
「…ふ。御堂、お前…何を考えていた?随分、厭らしい顔をしていたぞ?」
佐伯の手が、私の熱を探りだすようにウィークポイントをついてくる。
もう片方の手は、ない胸を掴み、さらに熱を促している。
「…はあっ…そ、そんな・・・お前、が! …あっ・・・さわる、から…」
さきほどの思い出していたことなど、言いたくなどない。言ったら、さらに悪戯してくれと、告白しているようなものでないか。
理性が警鐘を鳴らす。
なのに、腰は揺れていく。
自身の奥底で眠っていた痺れと、疼きが目覚め、佐伯の熱を待ち望んでしまっているのが 嫌でも解ってしまい、居た堪れない。
「クク…ッ…腰…揺れてるぞ…? 朝っぱらから欲しいんですか…?
御堂さんは本当に素直じゃありませんねえ…キスだけで、欲しくなったんでしょう…?
今度どうやって素直に淫乱になればいいか、教えましょうか…?……ククク…ッ」
まったく…なぜ、そうやって。なんでもかんでも、性的な言葉で繋げて私を、未知の世界へ連れ立とうとするのだろう。
頑なになったプライドが、邪魔をしているのは解っている。
でもそれもまた、私なのだから…壊すなど、ありえないのに。
涙目になりながら、訴えようと試みる。
だが、佐伯はそんな私の行動にも目もくれず今度は…私の脈打つ熱の籠った、雄に手をやり扱きにかかった。
「や…やめ…ろ!そんな、ことは…あ!」
「ここを、こんな風にしているのに…か? あんたは、そのしゃべる口は減らず口のくせして、こちらの口は、本当に素直だよな。
ここだけでなく…ふっ…感情も、支配してやるから…覚悟しておけよ?」
言うが否や、さらに扱きが加速されていった。
熱が煽られていく。
ベタつく精液と、汗が佐伯に支配されていく。
もしかしたらすでに、素直にさせられているのかもしれない。
そんな事を、脳裏に過らせながら佐伯によって開放へと導き誘われていったのだった――。
「…まったく…上司が、遅刻など…下の者に、示しがつかないだろう?」
「ふん、あんたが朝っぱらからあんな風に熱っぽく見つめてるのが悪い。」
遅刻するかしないかの、ギリギリの時間にあわてて会社に入っていく彼と私とのやりとり。
これも、いつもの朝のお決まりのこと。
藤田に至っては、呆れを通して スルーしているのが見て取れるから、こんな日は…顔を会わせずらいと、溜息がでてしまう。
しかし、個人的な気分としては悪くないかな、などと思ってしまうあたり、私もどうかしているのかもしれない。
しかたがないだろう? どうやったって、佐伯に…敵うはずがないのだ。
私は、彼に心を奪われているのだから。
そして、明日の朝の攻防を考えながら一日がはじまった。
end
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